2012年5月14日月曜日

「山田経営維新塾メールマガジン」Vol.2 2012.5.1号


第1回山田経営維新塾、午後最初の講義には七福醸造株式会社の犬塚敦統(あつのり)会長をお招きしました。昭和16年生まれですから、わたしより5才年上、今年70歳を迎えられるはず。しかし1時間半の講義中、ただの1度も座らずに熱弁を奮われました。

 冒頭のミートロ―フの話にはドギモを抜かれました。「子どもたちに美しい地球を残すことを1番の使命」と明言している人ですから、大人たちのカネの亡者ぶりを腹に据えかねていたのでしょう。



ある食品会社から「100円のミートローフを作ってくれ」と言われた。こちらもプロだが、尋常な手段でそんな安い肉は手に入らない。そこで、ふだんは捨てているクズ肉を集めて脱臭脱色し、添加物で色付けをして市場に出すことにした。するとこれが大当たり、人気商品になる。ある日、評判を聞いた妻と娘が「お父さんのために」と夕食にそのミートローフを用意した。それを見たお父さんは『家族には食わせられない!』と、即座にそれをゴミ箱にたたき込む。『俺はこんなものを娘に食わせようとしていたのか』と、やがて会社退職の決意をする─それは、すごい話です。

余った弁当の話も強烈です。突然の雨でイベントが中止。弁当が1000食余ってしまった。泣く泣く養豚業者に引き取ってもらう。翌日ブタたちはどうなったか。凶暴になって、隣のブタに飛びかかっていくという話。人間のエサは(良いものばかりを食べさせられている)肉用ブタには有毒、と言う笑えない話。いずれも添加物の怖さを物語っています。

「お金のためには何でもありの国になってしまった…」犬塚会長は冒頭のきっかり15分を使って、わたしたちに食品業界のアブナイ話を話してくれたのでした。「健康で長生きしたけりゃ、コンビニの食べちぁダメ!」─はい、キモに銘じておきます。


 経営幹部に“自分磨き”をさせるためにトイレ掃除をさせる、という話は有名です。ここまで徹底して幹部にやらせる社長はいません。犬塚さんは「洗ったトイレの水を飲む」とまで言っている人です。

実はこの話、犬塚さんの専売特許ではありません。師匠がいます。

一倉定(さだむ)と言います。経営コンサルタントとして知る人ぞ知る存在。「ダメな会社はすべてトップが悪い」「人のせいにするな」と苛烈なまでに経営者を叱り追い込むため“炎のコンサルタント”と言われたりします。一倉教の“教祖”などと悪口を言う人もいますが、世の社長たちの信奉を集めるカリスマです。トイレ掃除を重視するのは中日元監督の落合博光さんがそうたし、北野武も京セラの稲森和夫さんもやる。例がないわけではないのです。そんな中、犬塚さんは「わたしはバカだから、先生の言われた通りにやってきただけ」と言い切ってしまう。そこがすごい。日本一の実践者です。

「飲むとなりぁね、こっちだって必死。ネジまで外して拭きますよ。ふつう排水口まで拭いても、その内側までは手を回さないでしょ。僕はやる。黄色いドロドロがいっぱい出てきますよ。完全になくなるまでやる」

トイレの話が強烈過ぎて、他の話が耳に残っていないのでは?ちょっと、心配です(笑)。阪神淡路大震災で犬塚さんの会社がやった20日間にわたる炊き出しキャンペーンにわたしは感動しました。自分たちだって倒産しかねない環境の中で、より困った人たちのために動く。すると、材料を買いに行けば「ただならもってけよ(金を取らないということ)」「不良品だから持ってってくれ(かんぺきな商品だった)」と粋なやせ我慢。日本人のDNA、捨てたもんじゃないと、わたしなんかこんな話にも涙腺が緩んでしまいました。

最近の日本は、何かと言うと「カネ、カネ、カネ…」。でも、切羽詰まったところに人間の本性が出てきます。今度の震災でも、やりきれないほどの政府のウソや政治家の非力、役人の無責任、加害企業の東電の傲慢など、憤懣やるかたない思いの中で、ふつうの人たちが「何かできないか」と当たり前のことをやろうとしている、そこに数々の感動的な話が生まれている。うれしくなりますよ。

 犬塚会長が言っていました。「ふつうで行くか、手抜きでいいか、それとも精一杯やっていくか。自分の生き方を決めろ。決めたらやり抜け。10年後、20年後、ものすごい差が付いている」と。

トイレ掃除、あなたはやるでしょうか。話を聞いた直後、「よし、やるぞ」と思った人は多いでしょう。ところが帰りの懇親会でビールを飲んでガスを抜かれ、意欲がショボン…。それでも翌日から何人か、トイレ掃除を始めた人がいるのです。「バカだから言われた通りやってきた」という犬塚さんのセリフ、実はすごい言葉だった!

「やってみなけりゃ分からない」「やった者しか分からない」

何かに到達したいならやってみてください。続けなければ次は見えませんよ。


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