2012年8月15日水曜日

「山田経営維新塾メールマガジン」VOL17,2012.8.15号


私の2冊目の著書、「“非常識”社長の『維新』を興す経営」(ミーツ出版)が 7月29日付静岡新聞の読書欄『今週のベストセラー』で久しぶりにトップを奪回しました。5月半ばの発売から、都合6度目の1位獲得です。


著名な経済人でもない、地方の製茶メーカーの創業者にすぎない私の経営指南書が静岡県内で好評をもって迎えられたのは、私を応援して下さる古くからの友達や、ビジネス上でつきあいのある方々、また中小企業支援の講演などで知り合った方々が『山田の本だから買ってやろう』と思ってくださったからだと思います。
おかげさまで地元の有力紙、静岡新聞の生活文化部記者から取材を受けるという栄にも浴しました。この記事は7月6日の朝刊でカラー写真付きで掲載されました。


この本のキーワードは「維新」です。
維新とは惟(これ)新たなりという意味で、すべてを根本から変えるという強い意志を表しています。最近は大阪市長の橋下徹さんが「維新の会」を名乗ったために、少し偏った形で伝えられていますが、「一新する」という以上の変化、大変革を意味します。

中小企業のくせにおおげさな、と言われるかもしれません。
いえ、中小企業だからこそ維新が必要なのです。
私がつくった会社「山田園」は幸いにして、中小零細企業が多く競争し烈な製茶業界でなんとか「23年連続増収増益」という実績を残すことができました。しかしそれは簡単なことではありませんでした。中小企業は小さな失敗でも命取りになります。どんなに経営努力をしても、外部環境により翻弄されることもあります。どんなときでも前年より売り上げを伸ばし、しかも利益も拡大させるということは、並みの努力ではできることではありません。
社長在職中の23年間を考えても、漸進するとき、つまり無理せず緩やかに前年実績を超えようという時期と、大胆に新規事業に乗り出したり、組織を大幅に変えるなど「変革」を志向した時期とがあります。
変革期には、今までの経験や発想では通用しないことがあります。そんな時はすべてを平地に置いて、一から人間や組織、取引先との関係、顧客創造の方法等を練り直したものです。その際、一番に変えなければならないのはトップリーダーたる経営者そのもの(「おれが変わらなければダメだ」ということ)なのです。
社長が変わらなければ、会社は変わりません。
逆に言えば、社長が変われば会社は大きく変わっていくのです。


本書のもう一つのキーワードは「人づくり 夢づくり ファンづくり」です。
これは、中小企業が維新を起こすためのプロセスを説明しています。
負けない企業にするにはどうすればいいのか。


1に人づくりです。経営者自身がひとかどの人にならなければ会社は動かせない。
2番目に、夢づくり。社員が夢をもてる会社でなければ強い会社にはならない。
1と2ができてはじめて、顧客はその会社のファンとなり事業を後押ししてくれることになります。それがファンづくりの意味です。


社長が変われば会社は変わる。言うのは簡単ですよね。
誰でもできそうだ。でも、やり抜く人は少ないですよ。
社長はただでさえ現実の対応に追われ、先の見えない「効果」や「お題目」にかまけている暇なんかない。
そこで本書では、トップリーダーの常識外れの発想が会社や組織を変えていった具体例を数多く取り上げました。
中でも第7と8章では、中小企業が危機に際して陥りがちな「二者択一」的な発想をとりあげました。「競合他社が値引き攻勢をかけてきた。わが社も値引きすべきか否か」。普通は①追随値下げか②価格維持かの二者択一と考えます。
しかし、あれかこれかの発想は敗北の道です。こういうときこそリーダーは、脳みそに汗をかくほど考え抜かなければなりません。あれかこれかではない「第3の道」は必ず見つかります。


私は「“非常識”社長─」の上梓とほぼ同時のタイミングで、静岡市のホテルで月1回経営指南のための塾を開講しました。「山田経営維新塾」と言います。
共に学び、共に進化し、維新を起こそう─というのが設立の精神です。
会社は経営者によっていかようにも変わりえるものです。
よい経営者とは何か。
成し遂げたいという信念を持っていること、時代の趨勢を見きわめられる洞察力、これというタイミングで一歩踏み出す勇気、人をたらしこむような人間的な魅力、資金力、度胸、聡明さ、夢見る力……などなど、いくらでも「必要条件」を上げることはできます。
しかしそのすべてがそろったところで、おかげさま、感謝の気持ちで人を思いやる謙虚さがなければ、たぶん何も成就できないでしょう。
「人間力」と言えば簡単ですが、これが大切であることを腹にストンと落としこめるほどに理解するのは至難なことと言わなければなりません。
しかし維新塾はそれを目標にしています。


人から言われてやることは、1回きりなら誰でもできます。「心を磨け」「努力しろ」と言われて「よし、やるぞ!」と思う。頑張る。やり遂げる。できれば、喜びが沸いてくる。自信が生まれてくる。
さて、それからです。2日たち3日たち、まだその喜びや意欲を継続できるか。
凡人と「神様」と言われる人たちとを分けるのは、異常とも言える執念や信念を何も思わず信じ切りやり続けるかどうか。維新塾では実践を通して、腑(ふ)に落ちるところまで叩きこんでいきます。


本書は、塾に参加する塾生がスタートラインに立った時、最低限の心構えとして知っておいてもらいたい発想法やリーダーとしての在り方をまとめました。「経営」への理解が深まると、本書もまた違った読み方が出来ると思います。多くの方に読まれることを切望しております。

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